認知症の高齢者を支える取り組み

「九州一安心、安全なまち」を目指す宮崎県小林市は、家族や介護事業所職員、ボランティアらが連携して認知症高齢者を支える「あんしん生活実践塾」に取り組んでいます。そもそも認知症は、記憶力や理解力の低下など脳細胞が壊れて起こる中核症状と、幻覚や徘徊など生活環境、心理状態が関連して起こる周辺症状があります。この「あんしん生活実践塾」の理論は、特に周辺症状の改善に効果があると言われ、全国の自治体や施設で取り組まれている場所もあります。

小林市では九州で初めて「あんしん生活実践塾」を導入しました。毎月1回の座学で水分や食事の摂取量、運動の必要性を学びながら、認知症患者を半年間以上サポートします。1人暮らしの高齢者には、地域包括支援センター職員と地域ボランティア、民生委員らが5人から10人のチームをつくり午前と午後に訪問します。水分量や食事の摂取量の記録のほか、認知症の進行具合や性格、また表情も活動報告書に記入し、情報共有を行います。その際には定期的なミーティングが必要不可欠であり、それぞれの職種の人たちのコミュニケーションがとても大切になってきます。

これらの「あんしん生活実践塾」の取り組みの効果として、「たんすの上に女の人がいる」などの幻覚、「隣の人に炊飯器を盗まれた」といった妄想、トイレの場所が分からず玄関で放尿する行動などが減少したそうです。症状改善までには時間がかかりますが、水分や食事の改善に根気よく取り組めば効果が期待できる、これからの高齢化時代に寄り添った取り組みです。